第30章 6202号室 荒唐な夜

「やめてくれないか?」稲垣栄作は笑いながら、高橋遥の体を撫で回し続けた。「服を脱いだのは俺と寝るためだろう?どうした、中村おばさんを助けたくないのか?」

彼の声はかすれていて、嘲笑の色が混じっていた。

高橋遥は恥ずかしさに顔を赤らめ、額には汗がにじみ、髪が額に張り付いていた。拳を固く握りしめ、最後の抵抗を試みていた。

稲垣栄作は彼女の哀れな顔を見て、怒りがこみ上げてきた。

「俺がなぜ離婚しないか知りたいんだろう?教えてやるよ」彼は彼女の精緻な顔を掴んで嘲笑した。「三年前のあの夜を覚えているか?」

彼は高橋遥の体を放し、カーテンを閉めて灯りをつけた。部屋が明るくなった。

稲垣栄作は...

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